今の時代、おせちは購入するものなのかもしれませんが、私が子供の頃は各家庭で作っていたものです。
そして、単にお正月だからおせちを作るのではなく、年の始めの願いを込めて作られたものがおせちだったのだろうなと思います。
ではおせちの由来や食材の意味とはどのようなものなのでしょうか?
五節句とか節日とか節会とか、小難しい話はどこかへ置いといて、おとぎ話的な由来や、ダジャレ過ぎて笑える食材の意味について取り上げてみたいと思います。
もしあなたが、宿題や論文で真面目な話を探しているのでしたら、他のサイトを探すことをおすすめします…
そうではなく、息抜き的な話を求めてあなたが来てくださったのなら、そのご期待に添えるかもしれません^^v。
おせちの意味や由来とは?
おせちの意味や由来と言うと、必ずといっていいほど取り上げられるのがこんな文面ではないでしょうか。
おせちは「お節」と書いて「節」は「節日」のことで「五節句」がどうたらこうたら…
まぁ、書いている方は真剣に教えてくださっていると思うのですが、あまりに散文的で文章が素通りしてしまうのです^^;。
冒頭でしっかりと生真面目な話ではないことをお伝えしましたから、今御覧いただいているあなたも同様だと思います。
なので、私がお気に入りのおせちにまつわる話を2つご紹介しますね。
もしかしたらあなたはご存知かもしれません。それでもやっぱりそこには物語があると思うのです。もし知っていたとしても物語として楽しんでいただければ幸いです。
その1
昔々、まだ人々が神様を信じていた頃のお話です。
お正月になると八百万の神はお気に入りの家にこもってゆっくりと過ごすことにしていました。
その八百万の神の中には、もちろん竈(かまど)の神様たちもいらっしゃいました。
そして竈の神様たちが訪れる先は、決まって竈に火が入っていない家だったのです。
何故なのでしょう?
もちろん、竈の神様たちだって正月早々から働きたくはなかったからです。
竈に火が入っていたら、どうであれ働かされることになります。
そんなこんなで、昔の人達は竈の神様に来てもらうためにおせちを作っておき、正月3が日は竈に火を入れることを控えたのだとさ。
その2
昔々、とても仲のよい夫婦がおりました。太郎と花子です。
花子は毎日朝早くから夜遅くまで食事を作って洗濯をして掃除をして反物を織ってと休む暇がありません。
そんな花子を気の毒に思い、太郎はせめて正月くらいはゆっくり休ませてあげたいと思いました。
それを花子に話すと、「それならばお正月に食べるものを暮れの内に作っておきましょう」と言って、重箱に4つ分も料理を作ってしまいました。
そして迎えたお正月。二人共重箱の料理を食べながらゆっくりと過ごしました。
それを見た八百万の神様たちが「我らもあの家でゆっくりしようぞ」と重箱の中にそれぞれ4人の神様が入りました。
多くの神様を迎え入れた太郎と花子は、その後もずっと幸せに暮らしたのだとさ。
いかがでしょう?
通り一遍等に、おせちは元々おせちく(御節供)と言われ神様を迎え入れるための供物として云々…なんて説明よりも頭に入ったのではありませんか?
そしてこんな物語を知ってから食べるおせちは、これまでと違った美味しさがあると思うのです。
おせちの食材の意味とは?
おせちっていろんな食材が使われています。そしてその食材それぞれに意味があることはあなたもご存知のことと思います。
ただ、私を含めてどの食材がどんな意味を持っているのか即答出来る人は少ない気がします。
おせちを楽しむためにも、どんな食材にどんな意味があるのか調べてみました。ダジャレ感覚で楽しんで下さい。あいうえお順に並べてみました。
海老:エビの腰が曲がっている姿にたとえて、腰が曲がるまで長生きするようにと願いからです。
数の子:多くの卵から子だくさんの願いを込めました。ニシンの卵なので2親から子供がたくさん出来るにもかけられているのだとか。
栗きんとん:「栗金団」と書くので金の団子とか金の布団を意味して、金運や財運をもたらすとされているようです。
黒豆:「まめに暮らす」元気に健康で暮らすにかけているとも、「まめに働く」にかけているとも言われています。
紅白かまぼこ:紅白はおめでたい色ですし、かまぼこの半円が日の出(年神様)を表しているのだとか。
紅白なます:紅白かまぼことほぼ一緒ですが、大根と人参をつかっているので、根菜のように根を張るとの願いも込められています。
昆布巻き:これはもう、まんまダジャレで「よろこ(ん)ぶ」ですね。
里芋:里芋は子芋がたくさんつきますから、子孫繁栄の願いが込められています。
田作り:かたくちいわしの稚魚から作られます。昔は肥料として使われていたことから田作りと言われ、豊作を祈願するものです。
伊達巻き:卵の黄金色が豪華で見栄えがいいため伊達巻と呼ばれるようになったのだとか。そんな呼び名とは別に、巻き物の形状が
掛け軸や書物に通じることから文化的な繁栄を願ったようです。
錦玉子:卵の黄身と白身を金・銀に見立てているんですね。金運や・財運の象徴です。それ以外にも金と銀の2色を錦(にしき)に例えているという説もあります。これもダジャレですね。
蓮根:極楽の池にあるから縁起がいいとも、穴があいているから将来の見通しがいいとも言われています。
さて、主だった食材を挙げてみましたがいかがでしたか?
イメージが優先しているものや、単なる語呂合わせからくる縁起かつぎみたいなものまでいろいろですよね。
例えば田作りなんて、昔は肥料に使われていたって知識がないと「なんで魚が田作りなの」ってところから始まると思います。
その知識があれば「肥料になって豊作にしてくれたから田作りなんだね」って連想できます。
一番人気かもしれない栗きんとんだって、「これを食べたら金運がつくんだ!」って思えたら、とっても美味しく食べられそうです^^。
おせちのそれぞれの食材に込められた願いや思いを感じて味わうのも、正月ならではの贅沢だと思いませんか?
おせちを重箱に詰める意味とは?
現代において、おせちは必ずしも重箱に詰められているものでは無いかもしれませんが、もともとは四段とか五段の重箱に詰めたものです。そして、重箱に詰めるのはそれなりの意味もあったんですね。
「おせちの意味や由来とは?」の物語の中でも少し触れましたが、重箱はその名の通り重ねる箱です。そこから「福を重ねる」、「おめでたい事が重なる」等の願いが込められています。
また、現実的な理由として、重ねることで場所を取らない、埃や虫が入らない、わざわざお皿に盛り付けて出す必要がない等、とても便利な容器だったため、広く使われることになったとも言われています。
ちなみに、正式なおせちは5段なのだとか。
一の重:口取り・祝い肴
二の重:焼き物
三の重:煮物
四の重:酢の物・和物
五の重:控え(神様から授かった福が入る場所)
今は五段よりも三段とか四段が一般的かもしれません。ただ福を受けるのは重箱ではなく自分自身ですから、たとえ五の重が無いとしても、心のなかに受け入れる控えがあれば全く問題は無いと思います。
しきたりはしきたりとして尊重しつつ、その背景にある想いを理解しているなら、あえてしきたりにこだわる必要は無い気がするのです。
もちろん、しきたりに沿うことが出来るならば最高ですけど^^。
まとめ
今回は堅苦しい知識ではなく、気軽に楽しんでおせちが美味しくなるようなあれこれをご紹介したつもりです。
この記事が、あなたのおせちを多少なりとも価値あるもの・美味しいものにしてくれますように。そしてあなたの心の控えの間に、神様が幸福を運んでくれますように。
どうぞ素敵な一年をお過ごし下さい。